「アイテム」トップ > 活用校の声 > 一貫性のある、先へとつなげる教育を ~系統性をもった学び合いを通して~

活用校の声

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学 校 長      荒川 右文 先生
研 究 主 任        平野 正隆 先生
カリキュラム部部長  西野 淳 先生

 品川区立品川学園は平成二八年より全国で初めての義務教育学校としてスタートし、今年度一年生から六年生で、『アイテム算数』を導入いただいております。『アイテム算数』導入の経緯、今後の展望について三人の先生に伺いました。

日本教育新聞取材記事(2019年2月4日付)と併せてお読みください。

教育理念

- 貴学園は義務教育学校でいらっしゃいますが、教育理念について、先生のお考えをお聞かせください。

荒川校長

 本学園は義務教育学校ですので、現場の先生方には、九ヶ年のつながりを意識した指導をしてほしいとお願いしています。九ヶ年通して学ぶ「市民科」という区独自の教科もありますが、算数・数学、国語のような教科の中で、一年生から九年生まで一貫性をもってつないでいかなければ、義務教育学校としての特長が生かしきれないですし、何よりもったいないと思っています。
 先生方はある程度自分のやり方に拘りをもって臨んでいると思います。しかし、担任や学年によって大きく教え方、進め方が異なるのは、子どもにとって一年契約のようなもので、あまりよいとは思えません。本学園での学びは九ヶ年ですが、子どもたちはその先に高校へ行き、大学や専門学校へ進む子もいて、いずれは社会へ飛び立ちます。先生方には、先の学年、またその先のことを想像し考え、その上で指導を行ってくださいと伝えています。ですから、「この学年まで教えたら終わり」というような考え方、やり方はしないでくださいとお願いし、理解をいただいています。
 教材を決める際には、先生にとっても子どもにとっても、なるべくつながりのある、効果的かつ使い勝手のよい教材を準備し、使い方、活かし方を先生同士で考えて臨んでほしい。子どもには、学年や先生が変わっても、拠り所となるような学び続ける力を身に付けてほしいし、付けさせたい。そのような思いから、副教材を学園で統一し、活用の方法を考えてくださいと伝えました。学園として上手く活用するスタイルをつくり、それを子どもに還元していくことが大事だと考えます。

西野先生

 本学園には一年生から九年生までのカリキュラムを考えるカリキュラム部があります。副教材を検討する中で、基礎学力を定着させたいという目標がひとつありました。また、学習指導要領に記されている「確かな学力」に加え、「生きる力」である「学びに向かう力、人間性等」も育てたいという思いがあります。本学園は、一年生の指導を上級の六年生や、七年生、九年生が自然と行える環境にあります。単純に問題集を解くというより、問題集を通してお互いに学びあうことを行いたい。そのような学び合いができる副教材を選びたいという目的がありました。
 『アイテム算数』は研究校のホームページを見たり、研修会に出向いた際に、実際に導入されている学校が多いことで知りました。区内でも導入されている学校があり、先生方の認知度もありました。内容を見ると、活用、探究問題もさることながら、基礎的な問題、下段には計算ドリルが付いているので、子どもが自分で進めることができます。最後の探究の(発展的な)問題も、乗り越えられない難問ではありません。例えば、友達と学び合ったり、先生に自分から聞きに行ったり、そのような活用ができたらいいなというのが、『アイテム算数』を見て強く印象に残ったことです。

『アイテム算数』の活用方法

-『アイテム算数』の活用方法についてお聞かせください。

平野先生

 本校では、授業で練習問題が早く終わった子どもに対し、プリントを作成し渡していました。そのプリントを止め、今年度からは『アイテム算数』に取り組んでいます。加えて、殆どの学年で宿題にもしています。学年によって異なりますが、二年生では、S・タイム(朝学習)をアイテムの時間と決めて行っています。基本的にはノート学習で書き込みはしていません。書き込んでしまうと繰り返し取り組むことが難しいからです。ただ、作図の問題などノートに書き写すことが難しい問題は書き込みをしています。

『アイテム算数』導入後の変化

-『アイテム算数』導入後の変化についてお聞かせください。

西野先生
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 子どもたちが以前より楽しんで学習できるようになったと思います。補充問題として渡していたプリントは単調な問題が多く、子どもたちにとって作業のようになっていました。問題を解くスピードは上がりますが、楽しく取り組んでいるか、というと疑問でした。その点『アイテム算数』には骨のある問題があって、相当数の子どもたちが楽しんで取り組めています。
 教師にとっても、同じような問題を作ったり探したりする労力が減り、子どもたちと楽しく学習できるという成果が出ていますね。授業中取り組む際、自力で解けない問題には友達と協力する姿も見られます。補充問題としての取り組みだけでなく、このような場面が学年を越えて広がっていけばいいなと考えています。

平野先生

 先生方が授業や課題の準備をする手間や労力が軽減されている、という感じは確かにあります。ただ、算数が苦手な子どもは、友達から説明を受けても結局は理解できないところがあり、未消化になりがちです。最後のステップ「チャレンジしよう」(探究)の問題は、取り組める子が取り組めばいいのではないかと思い、先生方には伝えています。しかし先生方からは、やらない問題があると、苦手な子は解けた子のような達成感が味わえないのでは、との声が上がっています。ですから、今年は『アイテム算数』と計算ドリルを併用している学年もあります。
 保護者の方から費用についての意見が上がっているという声は聞いていません。逆に「何かもっと勉強をやらせたいのですが…」と聞かれた時に「アイテム算数を使って勉強してください」とどの学年の先生でも共通して返すことができる。その点では(共通のもので)良かったと思います。家庭学習を推し進める上で、保護者との関わりは必要です。家で問題を解いて、分からない問題を親子で考えて解く、ということもできたらいいなと思います。実際に宿題を見てあげるだけでも子どもは喜びますから。いい意味で家庭にも広げて触れてもらうことは、学園の取り組みやカリキュラムを知ってもらうことに繋がると思っています。

来年度に向けて

 -来年度に向けて検討されていることがあれば、お聞かせください。

西野先生

 今年は導入一年目ですから、研究主任の平野が中心になり、取り組み方を模索しながら進めています。それでもやはり、取り組み方は学年、先生によって多少の温度差はあります。その温度差を少しずつ少なくしていくために、「授業中に使っていきましょう」という声掛けをしてくれたりしています。
 本学園は五、六年生から教科担任制になり、宿題の出し方や進め方はかなり統一されています。『アイテム算数』の導入を機に、来年度以降、一年生から四年生も宿題の出し方などは統一していけたらいいね、と話しをしています。カリキュラム部内の研究会や話し合いの際にも、アイテムの活用状況を確認して、その成果と課題を先生方から吸収をしていますので、来年度どのように統一していこうか、今まさに検討している段階です。

平野先生

 一年生から四年生の宿題に『アイテム算数』取り入れていくには、まず「毎日ではなくても週に何回か入れましょう」と決めて系統立てて続けていけば、子どもたちの学習習慣として身に付くだろうと考えています。

西野先生

 先生方の様子を見ていると、どうしても今までの教材、やり方がいいのですね。基礎・基本から活用、探究の問題入っている『アイテム算数』に替えた場合、探求の問題までを全員が触れるわけではないことに、後ろめたさがあるのでしょう。私としては、探求の問題はやりたい子が進める、算数を楽しいと思える子が挑戦するくらいで最初はいいと思うところもあります。活用問題を「難しい問題」と考える先生もいますし、これからの子はこういう力をつける問題が必要だと考える先生もいて、認識にズレがあります。来年度は、先生方にアイテムのガイドラインの提示が必要かなと個人的には考えています。アイテムの初めの二ページ、導入と習得については、必ず全員の子どもが自力で取り組む。その先の活用と探究の問題については学び合いやチャレンジ領域として扱う、というようにですね。
 また、七年生から九年生についても、数学は三学年統一した教材を購入しています。また、朝学習に取り組む時間を設ける、テストの課題に組み込むなど活用方法を(九ヶ年で)合わせることで系統立た指導法を試みています。

平野先生

 本当は『アイテム算数』の七、八、九年生版があれば一番いいというのが、正直な思いですが、中学でも活用、探求に似た流れがある問題集を選んで使用しています。学園で同じ教材を使っていれば、子どもたちも馴染んできますよね。一度自分が解いた問題であれば、例えば五年生の子どもが一年生に教えるのであっても抵抗感は少ないでしょう。七年生、八年生の子が下の子たちを教える時も、同じように指導はしやすいと思います。『アイテム算数』は習得、活用、探求というスタイルで出来上がっていますから。そういう系統性が学園として築けたらいいと思っています。
 要するに『アイテム算数』を一本の柱にしたいのです。アイテムにドリルやプリントをプラスしたとしても、最終的に戻る場所にしたい。算数・数学で一本柱が通っていると、先生も子どもも違います。『アイテム算数』をひとつの基準とし、基準に沿って、ブレがなく積み上げていくということですね。

School Data

学校
〒140-0001
東京都品川区北品川3-9-30
学校長 荒川 右文
児童数:1117名

パンフレット「アイテム算数のご案内」

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